【インデザインのこと】Symbolフォントの流し込みで起こる不具合について
印刷屋が口をそろえて「Symbolは置き換える」というのはどういうことなのか、Symbolの何がいけないのか、今回はそのことについてお話します。
じゃ、ないんですよ!
Symbolとは
Symbolはフォントのことです。ただ、普通のフォントと少し違います。
文字は0~9とA~Fの文字であらわすユニコードでなんの文字を示すかが決まっています。
例えば、0021は「!」になりますし、「1」は0031です。
これ↓はMS明朝の0020~011Fの範囲の文字一覧です。ATOKの文字パレットで表示しています。
ほとんどのフォントはMS明朝と同じような配列になっています。そこで、A~zまでの配列を覚えておいて、Symbolの同じ範囲の一覧を見てください。
A、B、X・・・?
これはギリシャ文字の「カイ」です。A~zの範囲がアルファベットではなくギリシャ文字になっているんです。
このようにSymbolは他のフォントとは違った文字を表示させる独自の世界観を持っています。
つまりSymbolで「α」と表示されていても、インデザインで組版したときにフォントが変わると、「a」と表示される現象が起きるんです。
・・・と、そう単純に完結できないのがSymbolというフォントなのです。
Word原稿をインデザインに流し込む
WordでのSymbolフォントの表示とSymbol独自の世界観
大体の原稿はWordで作られると思います。
色んな人が独自の感性で作る原稿は文字の大きさ、フォント、行間、字下げ・・・あらゆるところに個性があります。これをそのまま一つの冊子に収めると個性のぶつかり合いが起きます。文章を読んでいて、見出しのレベルがつかみにくい、読みにくいなど様々なエラーを起こします。
その体裁を整えて、読みやすく、読者に疑問を持たせない・迷わせないように作り上げるのが「組版」です。
その際、フォントの統一をします。
すると、Symbolで「α」としているのに「a」と表示される不具合が起こる・・・。
ならば、文字をすべて置き換えればいい。Symbolの「α」をMS明朝の「α」と同じコードに置換すればいいとなります。
Symbolは他のフォントとは違った文字を表示させる独自の世界観を持っていると先述しましたが、ここでF020~の一覧を見てください。
↑はSymbolのF020~F11Fの一覧です。あれ?さっきと同じ・・・?
ではこの範囲の文字をMS明朝で表示させます↓。
何も表示できません。当然です。この範囲は「外字」とか「私用領域」とか呼ばれるエリア・・・。まさに未開の地、もしくは各々が持つ個性の主戦場なのです・・・!
組版屋にとってここは魔界・・・。触れたくない、関わりたくない領域といっても過言ではありません。
さらに恐ろしいのが、↓の一覧です。
これはF020~F11Fの範囲をWordに流したものです。「A」と表示されている文字を選択している状態です。フォントの表示欄を見てください。「MS明朝」と表示されているのがお分かりでしょうか・・・。
一つ前の画像ではMS明朝はF020~F11Fの範囲の文字を表示できていません。
Wordは指定されたフォントで表示できなくても、無理矢理表示させてしまうことがあるんです。
Symbol特有の文字コードの範囲を入れたWordをインデザインに流し込む
↓はWordにF020~F11Fの範囲の文字を流したものです。
上の表はSymbol、下の表はMS明朝に設定してあります。F061がSymbolでは「α」MS明朝では「a」と表示されている時点で、このデータはもう只者じゃないんですけどね・・・。
このWordを「.doc」と「.docx」に保存して、それぞれインデザインに流し込んでみます。
Word上の設定をそのまま生かす形で流し込みます。
↓は流しっぱなしの状態です。
スタイルを当ててみます。今回は面倒なので「基本段落」でいきました。
WordではF061がSymbolでは「α」MS明朝では「a」と表示されていましたが、どちらも「a」と表示されています。つまりWord→インデザインの過程で文字コードが勝手に置き換わっているということになります。
しかも「.doc」と「.docx」で結果が違います。もう何が何やら混乱します。
さらに、混乱することに、今度はコピペしてみますね。
.docxの隣にコピペしました。
Symbolの方は文字が表示されていません。F020~F11Fの範囲の文字を表示できるはずがないのですから考えてみれば普通のことです。
しかし、MS明朝の方はどうでしょう?
このようなことがあって、印刷屋はみんな「Symbolは置き換えるのでご了承ください」≒「Symbol使わないでほしい」と言っているのです。
Symbolのリスクを回避する
と、いかにSymbolが危険なフォントかお話ししてきましたが、このリスクとどう向き合うか。
今までの検証からお分かりいただけると思いますが、インデザインに流す前に「Word上でコードを置き換える」しかありません。
インデザインにしてからでは置き換えは不可能です。だって勝手に置き換わっちゃってんだもん。
Wordのマクロ使えば一括置換できますし、ワークフローに必ず適用するマクロを用意するのは組版屋の鉄則です。その中に入れておけばよいのです。ただ、すべてのSymbolフォントを網羅するのは大変です。網羅したと思っていても思わぬところに文字を持っている可能性はあります。
私もこの間プライムで化けてしまいました。
みんな頑張ろうね!
【色のこと】アナログ原稿をデジタル化することの難しさ
アナログ原稿をデジタル化する際、「色の再現性」は大きな課題です。
印刷所にアナログ原稿を入稿したとき、「どうしてこんな色なの??」と思う人は少なくないだろうなと、DTPオペレーターの立場で推察しています。
今回は「アナログ原稿をデジタル化する」ことの難しさを超簡単にお見せします。
↓ こちらの絵具。そのままスキャンしてみます。
はい! こうなります!!!
機械によりますが、まったく認識できない色すらあるんです。(これは家のスキャナーでEPSON EP-808ABというやつです)
アナログ原稿を取り込む時、スキャナーかカメラ、原稿の性質によって使い分けます。スキャナーは大きな原稿だと分割取り込みになることもあるし、カメラだと歪みは絶対にでるので補正が必要です。
一長一短なのです。
だから「アナログ原稿をデジタル化する」ときに色が違っても怒らないで、やさしくチェックしてくださいね。
【Webのこと】複数のWebページをPDF書き出ししたい
Webサイトの見た目のままで記事掲載したい、とりあえずこの期間の記事を全部PDFにしてほしい(その中から掲載記事抜粋する)という仕事がありました。
※記事は取捨選択してから入稿しましょう。
仕方ないので手法を検討しました。
素直にやろうとすると、ページを開く・印刷からPDF書き出しを記事数分繰り返す、となります。
Webサイトを保存・Acrobatで結合
Webページは、右クリック→名前をつけて保存、もしくは、Ctrl+S、でWebページを構成すものすべてを保存することができます。
つまりWebサイトまるごと保存すれば中の画像も動画も簡単に手に入れることができちゃうんですよね。モラル的にそんなことしないけどね!
今回は仕事の依頼なので保存してみました。画像はダミーです。
保存したWebページのフォルダの中を「html」で検索して右クリック→Acrobatで結合します。
Acdrobatを持っていない人でも、フリーのアプリでPDFを作ることは可能です。例えばWondershare PDFelementなどで、こちらは無償体験版でも一括処理からPDF作成もできますが、ファイルを保存すると透かしが入ります。
話は脱線しましたが、Acrobatで結合したPDFですが、変換はAcrobatに依存しますのでレイアウトが崩れることがママあります。残念クオリティ。仕事で依頼のあったWebページも左寄せの文字が中央揃えになったりしたので、ちょっと使えない感じでした。「内容が分かりさえすれば多少のことは気にしない」というような需要であればこの方法は使えると思います。
さてと、次の方法を考えましょうかね・・・。
Acrobatの「WebページからPDFを作成」
Acrobatには最初から「WebページからPDFを作成」という便利機能がついていたんですよね。知りませんでした。「複数レベルをキャプチャ」からどの階層まで対象とするかも選べます。便利すぎる・・・。
ただ、当然と言えば当然なんですが、変換はAcrobatに依存しますのでレイアウトが崩れることがママあります。残念クオリティ。
つまり、Acrobatではなく、「印刷からPDF書き出しするルートを通らないといけない」ということが分かりました。
ブラウザから一括印刷できないか?
GoogleChrome、Edge、Firefox、Safari・・・ブラウザに一括印刷機能はないか調べました。それぞれのブラウザに拡張機能としてAcrobatを入れることもできますが、今回はこれが使えないという状況です。
Safariにそれができそうなことが書いてあるのもみたんですが、残念ながらWindowsだったので、これも×です。
Firefoxに改造したアドオンを入れるとできるというのもありましたが、件のアドオンのページがなくなっていましたので、これもできません。
ここまで調べてきましたが意外なブラウザに光明が見えました。それは・・・
IEには「リンクドキュメントをすべて印刷する」というオプションがデフォルトで用意されている。
すぐ確認しました。
マジだった。
なんだよ、これでできんじゃん。
これならヘッダー・フッター・ページサイズも自由に決められるじゃん。
yしかも今回の依頼は「ある期間」の記事のPDF化。ページ内すべてのリンクは必要ないのです。100ページ中の50ページが必要な場合、不要な50ページを削除しないといけませんし、上部にあるサイト内のメニューリンクもいりません。
この場合Web保存した一覧用のHTMLから不要な部分を削除しておけばよいのです。
例えばリスト3からリスト9を使いたいとします。
メモ帳とかで開いて↑の青い部分だけにすればよいのです。
↓ このような感じです。
とてもシンプルになりました。
この辺とか要らないや。空にしとこ。(最初「そら」って読んだ・・・)
ページごとに次々と保存し始めます。
無事に書き出されたのがこちら。
なかなかいい感じにできました。
どうでしょうか?
Web内の複数ページを印刷・PDF化するときの参考になれば幸いです。
【PDFのこと】Acrobatで注釈一覧を作ろうとすると「dictオブジェクトを指定してください」と言われた。
PDFの注釈を一覧印刷しようとしたら、↓のようなアラートが出ました 。
これが出るばかりで注釈印刷が一切できません。
さらに注釈のコメントをダブルクリックすると↓のように表示されます。
色々調べましたが、「Acrobat以外のアプリで付けられた注釈」だろうことと推測し、Acrobatではどうすることもできないという結論に至りました。
結論:注釈をつけたアプリで一覧印刷するしかない
色々調べた道程はのちほど紹介するとして、まず結局どうしたか書きます。
見つけましたよ。注釈一覧が作成できるソフトを。この注釈を入れた元のソフトかどうかは分かりませんが、「Foxit PDF Reader」というソフトで注釈一覧を作成・印刷することができました。
私の場合2個目のアプリインストールでヒットしました。
これをちょっとインストールして万事解決! よかったね!
ただし、文字がすっごくちっちゃい・・・。
色々試したこと
長々と読む時間がない人のために結論から書きましたが、ここに至るまでに何を試したか、自分の備忘録としても書いておきます。
Macならできるかも?
まず、私の環境がWin10だったこともあり、もしかしたらMacのプレビュー.app?ってやつかもしれないなと思いました。
というのも、過去に注釈を一覧印刷したところ、出力されない注釈と出力される注釈があって、修正モレしてしまったことがあったのです。画面で一個ずつ確認すればよかったんですけどね・・・。
今回もそれかもしれないと思い、Macで試したところ、Macでも同様に「dictオブジェクトを指定してください。」と表示されました。
フリーのアプリを試してみる
とにかくAcrobat以外のアプリで付けられた注釈なのですから、Acrobat以外のアプリで試すことにしました。まずは、すでにインストールしていたアプリから調べます。
PDF Sam
PDF Sam Basicは注釈機能がありません。
PDF Sam Enhancedの注釈機能は有料でした。
普段お世話になってるので、課金したい気持ちはあるのですが、そこは一下っ端社員なので・・・。面目ない・・・。
Wondershare PDF element
注釈をエクスポートできましたが、「.fdf」形式になるだけで、それをAcrobatで開こうとしても同様に「dictオブジェクトを指定してください。」と表示されます。
PDF-XChange Viewer
このアプリすごかったです。件のファイルを開いただけで↓のような表示が・・・!
指示通り再保存してみましたが問題は解決できませんでした。
まとめ
PDFで校正のやりとりするっていっても、紙に出した方が修正を目視しやすい・・・。そんなアナログから抜け出せない人は少なくないと思います。
実際、モニターが二つ以上ないと見づらいですよね。
修正を印刷したいだけなのに、あれやこれや調べるはめになるなんて、時間の無駄。全然スマートなデジタルワークじゃない!
フリーアプリの恩恵をふんだんに受けている身ではありますが、作業環境・閲覧環境が多様化するほど弊害は多くなっていくのでしょう。
エラーが出た時に、慌てず検索、深追いせず必要十分に調べ、最短ルートで解決できることが求められるのではないかと思います。
【イベントのこと】無名であくまで趣味で創作活動している社会人がドマイナージャンルの企画展を思いつきでやってみた【当日と成果】
はじめて個展開催した個展の一連の流れを記事のまとめです。
- 【概要について】 https://bliblibli-fu.hatenablog.com/entry/2019/09/10/181615
- 【企画構想について】https://bliblibli-fu.hatenablog.com/entry/2021/07/23/080604
- 【展示準備について】https://bliblibli-fu.hatenablog.com/entry/2021/07/23/112310
- 【ワークショップ準備について】https://bliblibli-fu.hatenablog.com/entry/2021/07/23/134921
- 【広報について】https://bliblibli-fu.hatenablog.com/entry/2021/07/23/155058
- 【当日と成果について】https://bliblibli-fu.hatenablog.com/entry/2021/07/23/224440
いよいよ会期当日のことを書いていきます。
初日
主催者が入館できるのは開館前10分からなので、会場押さえ初日に設営をすることになります。
友人の助っ人を一人連れていざ出陣。
会場の中に備品がすでに用意されていて、あとは勝手に設営する感じです。
会場の外にも掲示して、中で何かやっているアピールをします。
会場内は私がライトの設置、友人に壁面をお願いして、3時間で完了!!
しませんでした!!!!
しかし、ワークショップの方にお客様が来てくださったので、設営を友人に任せて私はワークショップの対応をすることにしました。ごめん!友人!ありがとうだったよ!!
平日でしたので、ワークショップの予約はありませんでしたが、通りがかった親子連れが何組か体験してくださいました。
子供たちは元気いっぱいで、圧倒されました。
個性的な色使いできれいなお月様を作っていました。
写真を撮らせてもらえばよかったと後悔・・・。
結局初日は、来場者50人・ワークショップ12人のお客様がいらしてくださいました。
販売の方はポストカードと小さい原画が数枚、里親様のお手元にいきました。
2日目
2日目は午前中に予約が入っていました。
設営がない分、体力的に余裕がある感じでした。
ワークショップ参加者も年齢層が少しあがったからか、砂絵やりながらお話してる割に落ち着いた不思議な空間になりました。
午前にワークショップを見物していた人が、当日参加していく流れができて、常に会場に誰かいる状態でした。
販売は友人に任せて、私はほぼワークショップにつきっきりな状態で、何人か友人や会社の人が遊びに来てくれたのですが、全然お話もできずでした。
本当にいっぱい感謝だったよ!!
2日目は来場者116人・ワークショップ10人のお客様がいらしてくださいました。
販売の方はポストカードと小さい原画が複数枚、里親様のお手元にいきました。
最終日
あっという間に最終日になりました。
最終日は撤収の時間があるので、3時半で閉室しますし、ワークショップの予約がいっぱいになっていたので、少しアワアワしていました。
設営が間に合わなかった初日から、二日かけて、微調整してきた会場です。
もはや自室のような気さえしますね。
ワークショップがいっぱいでお断りすることもあるくらい、ずっと席が埋まっている状態でしたが、独自路線で砂絵を作ってくださって、見ていてとても楽しい時間でした。
最終日は来場者103人・ワークショップ12人のお客様がいらしてくださいました。
販売の方はポストカードと小さい原画が数枚、里親様のお手元にいきました。
初個展の成果
構想から準備・広報、当日まで全部が超楽しかった。
これに尽きます。すべて自分で決めて、計画した実行して、友達に手伝ってもらいながら、自分の思い描く企画展ができたと自信を持って言えます。ちょっとに失敗はあったけど・・・。
数字で見ると、
- 販売合計37,000円
- 友人作家販売合計12,000円
- 来場者数約270人
- ワークショップ参加者数34人(保護者含め約40人)
上々です。
3日で270人を少ないととるか、多いととるか分かれると思いますが、私としては予想を上回りました。
正直、対応的には結構いっぱいいっぱいでした(笑)
3日間、昼抜きでした。
(ごめんよ!友人たち!!)
ギャラリーの方も労ってくれて、チョコくれました。
あとから聞いたのですが、室内に監視カメラがあるらしく、それで様子がばっちり見られていたそうです。
こっそりおやつつまんでたりお茶飲んでたりしてたの、見られてたの・・・?(室内飲食禁止)
監視カメラは1人で在廊してるときとか、トラブルが起きた時のためのものだそうで、展示者の監視が主目的ではないそうです。
ちゃんと見ててもらえるとボッチで当番のときも安心ですね。
まとめ
そんなこんなで長々と書いてきましたが、いかがでしたでしょうか?
これを読んだ人が、軽い気持ちで個展できそうな気がしてきてたらいいなと思います。
あと、土浦市民ギャラリーのコスパ最強なので、どんどん使ってあげてください。
アキがあって困ってるみたいでしたよ。
コロナが死んだらまたやってもいいなと思っているので、ご一緒にどうですか?
ハンドメイドは浸透してきて、お手軽にできるのに、作品発表のハードルがまだまだ高い・・・。このバランス、どんどん壊していきたいです。
【イベントのこと】無名であくまで趣味で創作活動している社会人がドマイナージャンルの企画展を思いつきでやってみた【広報活動】
はじめて個展開催した個展の一連の流れを記事のまとめです。
- 【概要について】 https://bliblibli-fu.hatenablog.com/entry/2019/09/10/181615
- 【企画構想について】https://bliblibli-fu.hatenablog.com/entry/2021/07/23/080604
- 【展示準備について】https://bliblibli-fu.hatenablog.com/entry/2021/07/23/112310
- 【ワークショップ準備について】https://bliblibli-fu.hatenablog.com/entry/2021/07/23/134921
- 【広報について】https://bliblibli-fu.hatenablog.com/entry/2021/07/23/155058
- 【当日と成果について】https://bliblibli-fu.hatenablog.com/entry/2021/07/23/224440
個展をするうえで最も重要な広報活動ですが、作品に打ち込んでいる方ほどないがしろにしがちです。創作している人のほとんどはTwitterやInstagramなどのSNSをやっていると思います。
しかし、知名度もなければフォロワーも少ない私はSNSだけでは足りないと思いました。そもそも創作のことや生活ことから愚痴まで雑多に呟くTwitterアカウントじゃ広報としては成り立ちません。もちろんそのアカウントでも呟きますけど。
まず最初に砂絵展用・創作用の新しいTwitterアカウントを作りました。
それを補強するために、ホームページ開設・ポスター・チラシの作成と配布というように広報活動を広げました。
とにかくホームページを作る
ガラケー時代にガラケーサイトを持っていましたが、PCでホームページを作ったことはありませんでした。無料のレンタルサーバーを借りてCSS、HTMLを最低でも作ることを考えると絶望しかありませんでしたが、とにかくネットです。ポスターやチラシにQRコードを入れて、会期が近づいていくにつれ確定していく最新の情報をネットで公開するのです。
そこで探したのが、無料でホームページを開設できるサービスです。
私が選んだのがWix.comです。
動作が重いという評判もあったんですが、ちょっと使ってみてわかりやすかったのでこのサービスを利用しました。
他にJimdoというサービスも検討しましたが、なんかWixに収まりました。
アカウント作らないといけないけど、とりあえず登録してみてちょっと触ってみるのがおすすめです。
それで完成したのが↓のようさホームページです。
最初はここまで作り込んでいませんでした。6割から7割くらいでTwitterで公開しました。概要が分かりさえすればいいくらいの気持ちでやりました。
ワークショップの図版やメイキングも少しずつ載せていきました。
刷り物
茨城でイベントをしようとしたら、ネットだけじゃダメです。
ネットにどっぷりつかっている我々のような人間が思う以上にネットの情報、しかも個人レベルの宣伝なんて広まりません。ポスター・チラシを配って地道に広報活動をします。
では、印刷物ってどれくらいするでしょう?
有名なプリントパックでA3両面カラー90kg、1000部で7,000円くらいです。
印刷通販プリントパック ― パンフレット・カタログ・チラシ・名刺・DM・ポスター
私はグラフィックさんでA3両面カラー90kg、1000部で8,500円くらいで注文しました。
A3チラシ・フライヤー印刷の価格表 - ネット印刷は【印刷通販@グラフィック】
A3のポスターを100枚と、A4チラシ1,000枚作ったら1万円超えます。
個人には大きな額ですよね。
そもそも疑問ですが、どこに配りますか?どこに掲示してもらいますか?
個人がお願いできるのは以下のような場所くらいだと思います。
- 美術館
- 博物館
- 市役所
- 図書館
- アートや創作に理解のあるカフェなど
そもそも、掲示できるスペースを確保してもらえるのか、ほかのチラシの中にあって見つけてもらえるのか・・・。ここでひとつ提案なのですが、
ポスター+チラシ+リーフレット
全部合体させようよ。
表面をポスターにできるようにして、
裏面はリーフレットのように企画内容を分かりやすくまとめました。
文章は会社の人に添削してもらったり、友人にも意見を聞いて、砂絵を知らない人が「?」と思うことをひとつずつ潰していきました。
印刷は折りを入れずに1,000部注文(予備が結構ついてた)して、ポスターに使うもので発送するものとチラシとしておいてもらうものは二つ折りにし、
小さいスペースでもおけるように六つ折りにしました。なんとしてもおいてもらおうという気概です。発送するときはこの小さく折ったものをポスター用のものに挟んでふんわりさせておくことができます。
刷り物の配布
ポスター・チラシを置いてもらう場合、施設によっては設置期間が定められているところもあります。なので配布時期は会期の1か月前くらいが目安です。
まず、大きめの美術館、博物館にはあらかじめメールでおいてもらえるか、掲示してもらえるか確認しました。
突然のご連絡失礼いたします。
当方、砂絵の制作活動をいている【本名】と申します。
この度、土浦市民ギャラリーにて「ガチ砂絵展」と題し、
砂絵の展示やワークショップを開催いたします。
(https://zarazaraspace.wixsite.com/website)
それにつきまして、ポスターの掲示・リーフレットの設置にご協力いただけないかと思いご連絡差し上げました。砂絵は色砂をノリ付ボートに乗せて絵を作るものです。
アートや創作の面ではあまり普及されていませんが、
とても簡単に自由な表現のできるツールです。
この砂絵展で展示やワークショップを通して、
砂絵の楽しさを広めたく、多くの方に訪れていただきたいと考えております。そこで【相手施設名】様で砂絵展のポスター掲示・リーフレットの設置をしていただけないでしょうか?
お手数ですがご査収くださいますと幸いです。
よろしくお願いいたします。
【連絡先】
なんの用で連絡したか、どんな企画の宣伝なのかを明確にし、おいてもらいたい刷り物のPDFも添付してメールしました。
茨城県近代美術館 | |||
ミュージアムパーク茨城県自然博物館 | |||
茨城県立歴史館 | |||
大洗水族館 | |||
茨城県天心記念五浦美術館 | |||
水戸芸術館 | |||
つくば美術館 | |||
しもだて美術館 |
美術館には個展や作品展のチラシやポスターがものすごく届くらしいです。
近代美術館の方はわざわざ断りのメールを送ってくださり、「こういったチラシが全国から送られてくるので、スペースがない」「限られたスペースは学校や公的団体を優先していて、個人の人のものを置く余裕がない」とのことでした。
残念ですが、断られることも織り込み済みです。
むしろこうして教えてくれたことは本当に参考になるし、ありがたく思いました。
また「添付されているPDFをプリントして職員の間で回覧はしたよ!」とのことで、本当にありがとうございました。
この後の持ち込みで断られても仕方ないことだという心構えもできました。
つくば美術館には50部を渡そうとして「そんなに要らない」と言われましたが、会社の先輩が会期前に「もうなくなってたよ」と教えてくれました。
以下はアポなしトツした施設と友人・知人・親にお願いした分です。
つくば市民ギャラリー | 50 | ハンドメイド作品を置いているギャラリーさんでしたが、存在を知りませんでした。歩いてみないとわからないものだなと思いました。 |
エキスポセンター | 25 | 受付が繁盛していて話しかけづらかったので、警備の人にお願いしました。一応預かるけど、絶対置けるとは限らないからねと念を押された。 |
筑波学院大図書館 | 20 | |
土浦市民ギャラリー | 50 | 土浦市民ギャラリーにはチラシ50枚を収めることになっています。 |
土浦市立図書館 | 30 | |
JOYFUL-2 | 40 | |
龍ケ崎市文化会館 | 20 | |
龍ケ崎市立図書館 | 20 | 司書さんに可愛いって言ってもらって図にのりました。 |
牛久市立図書館 | 30 | 掲示物用の申請書が用意されていました。こういう需要に事務的に対応できるようにしているみたいです。 |
自然観察の森 | 20 | |
かすみがうら市あじさい館 | 20 | |
かすみがうら市歴史博物館 | 20 | |
かすみキッチン | 30 | ここでアイス食べました。 |
ふれあいランド | 40 | |
空の駅そらら | 50 | 案内所があって快く引き受けてくれました。 |
茨城空港 | 40 | 本当はお金をとっているけど、入場料無料で公共性が高いのでということで引き受けてくださいました。 |
友人作家 | 150 | |
友人職場 | 32 | |
母親 | 50 | |
会社の人 | 60 | |
父親 | 1 |
1日使って、刷り物配布の旅に出ましたが、普段遊びに行かないようなところまではいって行ったり、「こんなところにこんな施設があったのか」というような発見があって面白かったですね。
思わぬ波及効果
砂絵展のリーフレットを見た方からお声かけいただき、「常陽リビング」「茨城放送(ラジオ)」で紹介していただきました。ちょっと恥ずかしい・・・。
当日もそれで展示を知ったという方もいらっしゃいました。
常陽リビングの方も、茨城放送の方もリーフレットのデザインが目に留まったらしく刷り物としての役目を大いに果たすものを作れてDTPオペレーターとしても嬉しかったです。
広報活動は刷り物の効果がかなりあったと思います。
むやみにばらまくより、図書館や美術館に出入りする層、公共施設を頻繁に利用する層を中心に広報活動をした感じです。
次は設営・会期中の様子などを書いていこうと思います。
【イベントのこと】無名であくまで趣味で創作活動している社会人がドマイナージャンルの企画展を思いつきでやってみた【ワークショップ準備】
はじめて個展開催した個展の一連の流れを記事のまとめです。
- 【概要について】 https://bliblibli-fu.hatenablog.com/entry/2019/09/10/181615
- 【企画構想について】https://bliblibli-fu.hatenablog.com/entry/2021/07/23/080604
- 【展示準備について】https://bliblibli-fu.hatenablog.com/entry/2021/07/23/112310
- 【ワークショップ準備について】https://bliblibli-fu.hatenablog.com/entry/2021/07/23/134921
- 【広報について】https://bliblibli-fu.hatenablog.com/entry/2021/07/23/155058
- 【当日と成果について】https://bliblibli-fu.hatenablog.com/entry/2021/07/23/224440
展示会で開催したワークショップの準備について書いていきます。
図版
砂絵のワークショップをするにあたり、図版を作りました。
図版はこのような線画で、当日体験者にトレースから切り込み作業、砂によるカラーリングまですべての工程を体験してもらおうと思いました。
これはサイトに公開したワークショップの図版です。全部で6種類。ボードのサイズによって体験料を決めています。
もちろん、オリジナルの絵を作りたい方にも対応するつもりで、図版は目安で、体験者が自由に砂絵を作れる空間を目指しました。
ワークショップをしていると、フラッと立ち寄った方がやってみたいと当日参加するということはよくあることで、そういうときは大抵、作っている人を見て、ある程度の工程を把握してたりしますし、自分で思い描くものをこの技法でやってみたいと思うこともあります。
私の実体験ですが、ワークショップに当日参加したとき、好きな絵を描こうとしたら決められた図版だけでお願いしますと言われて、色まで決まっていて、「私は赤系より青系でやりたいからこっち使っていいですか」って聞いたらすごく不愉快そうにされてことがありました。
その体験を反面教師に、みんなが楽しいワークショップを目指しました。
メイキング
砂絵の作り方を動画にして公開サイトで紹介しました。
- 前もって全体の流れを見ておいてもらう。
- 当日、動画を紹介して目で実際の作業を見てイメージしてもらう
以上のことを狙ってメイキング動画を制作しました。
さらに、すべての砂絵図版に作り方のシートを作って体験者に渡しました。
「つきのすなえ」の右上のQRコードはメイキング動画につながります。
「ワークショップとりたくないでやってみたけど、開催者とコミュニケーションとりたくない」「自分で解決できることは自分で解決したい」という方のための用意でもあります。
道具の用意
砂絵で必要な道具は
- 筆記具(シャーペン・消しゴム類)
- カッター
- 鉛筆(図版トレース用)
- 定規(必要なら)
くらいです。
予約をくださった方にはあらかじめMy道具の準備をお願いしましたが、持っていなければ用意はある旨を伝えました。
大体のものはDAISOで買いそろえることができました。
予約
事前予約はホームページで受け付けることにしましたが、ここで問題が・・・。
私の不手際で予約が入ってこない!!
恥ずかしくて穴があったら入りたい、ダンゴムシになって葉っぱの陰に隠れたい・・・。
しかも1か月くらい気づきませんでした。
本当に申し訳ないので、もう絶対にこのようなことが起きないようにしたいと思いました。
最終的に事前予約は11名様、実際には当日参加を含め約40名の方に砂絵を体験いただきました。予約と当日参加は1:3という割合だったのです。
2日半の会期で予想以上の方に参加してもらえました。ワークショップについてはこんな感じです。
次は宣伝について書いていこうと思います。むしろここはかなり重要だと思います。よければお付き合いください。